近年誕生の美容新処理剤(原材料)についての基本知識
近年誕生の美容新処理剤
近年美容業界で大きな変革をもたらしている「処理剤」ですが、余りにも多くの新成分が誕生しており、美容師さんから「良く解らない」という言葉が耳に入ってきます。すでにマニヤックな美容師さんだけのものではなく、通常利用する「処理剤」として有効なものが多く存在するだけに無視はできない存在となっています。そこで、それら新成分の一部をリストアップして簡単に纏めてみました。弊社でも全てを把握している訳ではないので、その点をご理解頂き参考にして頂ければ幸いです。
プレックス剤とはなに?
プレックス剤とは、ブリーチやヘアカラー、パーマによるヘアダメージを抑える作用がある添加剤のこと
ほとんどの場合、架橋・吸着する仕組みが多い
一例 架橋について
毛髪は、主鎖と言われる「ペプチド結合」が毛髪に対して縦に繋がっている
しかし、縦の繋がりだけでは強度がとても弱い・強度を上げる為にSS結合で横の繋がりを持つことで、毛髪強度が大幅にアップしている構造
※ その他に横の繋がりとして、水素結合・塩(イオン)結合・ペプチドなどありますが、ここでは美容師さんならご承知の事なので割愛させて頂きます。
建築物を一例にすると
さらに建築においてより耐久性を上げる為に「筋交いとパネル工法」で強度を上げている。
これと同じことを毛髪に利用する事で髪にハリを持たせることが出来る
まとめ
カラー剤と一緒にプレックス剤を使うことで、カラー時に欠損する横の繋がりを補ってくれるもの
傷んだ髪・髪を傷める原因のひとつに「横の繋がりであるS-S結合」の欠損がある。しかし、様々な要因(パーマ・カラー・紫外線など外部要因)から横の繋がり(S-S)がなくなることで髪は弱くなり、ダメージ進行が進む。様々な外部要因(強い紫外線・アイロン・ドライヤー等々)によっても横の繋がりは切れていきますので、時間経過とともにダメージは進行する事も理解はできるかと思います。放置のままで横のつながりが繋がることはあり得ません。
そこで横の繋がりを人工的に作って(架橋=プレックス剤)、強度を保ち、縦と縦の間(ペプチド間)に余計な空洞化をさせない様にする技術(添加剤)と考えると分かりやすいかと思います。さらに毛髪表面のコーティングによって強度も保てることも重要なことであります。(表面強度を上げる成分を含んだ製品がより優秀なのが分かる=例 Bジェル)
脱水縮合とはなに?
脱水縮合反応は2つの分子が結合して、より大きな分子を形成し、その過程で水分子(H2O)が放出される反応です。イミン結合の形成は、この脱水縮合反応の一例です。
髪の場合なら、
アミノ酸のカルボキシル基-COOHとアミノ基-NH2が分子間で脱水縮合し、-CO-NH-結合をつくる反応(ペプチド結合)でその時に水(H2O)が放出される。
この水(H2O)が放出されることで繋がることから「脱水縮合」と言います。
毛髪中に起こるイミン結合と脱水縮合は同じ事と捉えても良いですか?
毛髪中におけるイミン結合の形成と脱水縮合反応は、非常に密接に関連していますが、完全に同義ではありません。以下に両者の関係を詳しく説明します。
イミン結合の形成
イミン結合は、アルデヒドまたはケトン(カルボニル化合物)とアミンが反応して生成されます。この反応は、以下のように表されます。
R1C(=O)R2+H2N−ケラチン→R1C=N−ケラチン+H2O\text{R}_1\text{C}(=O)\text{R}_2 + \text{H}_2\text{N}-\text{ケラチン} \rightarrow \text{R}_1\text{C}=N-\text{ケラチン} + \text{H}_2\text{O}R1C(=O)R2+H2N−ケラチン→R1C=N−ケラチン+H2O
脱水縮合反応
脱水縮合反応は、2つの分子が結合してより大きな分子を形成し、その過程で水分子が放出される反応です。イミン結合の形成は、この脱水縮合反応の一例です。
両者の関係
- 脱水縮合反応:広義の化学反応の分類です。2つの分子が結合して1つの分子を形成し、水が脱離するプロセス全般を指します。
- イミン結合の形成:具体的な化学反応です。この反応も脱水縮合の一種ですが、特にアルデヒドまたはケトンとアミンが反応してイミン(シフ塩基)を形成するプロセスを指します。
結論
毛髪中で起こるイミン結合の形成は、脱水縮合反応の具体例の一つと捉えることができます。したがって、毛髪中でのイミン結合の形成について話すとき、それが脱水縮合反応の一種であると理解して差し支えありません。ただし、脱水縮合反応は他にもさまざまな形態があり、イミン結合形成はその一例に過ぎない点を念頭に置くことが重要です。
アイロン施術による「タンパク質の熱変性」とは?
多くのプレックス剤で施術使用する高温アイロンによる弊害
プレックス剤の多くは、高熱でのアイロンを使用します。薬剤成分の弊害だけではなく、そのアイロンの高熱によって髪を傷めることが大いにあります。
毛髪はほとんどがタンパク質で出来ており、タンパク質は熱を加え過ぎると硬くなる・固まるなど変性を起こします。「熱変性」とはタンパク質の分子の立体構造が熱により変化して性質が変わることを言います。タンパク質を含む食品の代表である卵を茹で、熱を加えると、白身や黄身が固まります。これは熱変性によるものです。
同様に髪もタンパク質ですので、同様なことが起こるのです。「タンパク質の熱変性」は、髪が乾いている状態だと約130℃ぐらいから、髪が濡れていると約60℃ぐらいから熱変性が始まると言われており、「タンパク質の熱変性」を考えた場合、熱変性の無い130℃以下でスタイリングした方が、髪に優しいのかと思います。しかし、コテやアイロンを髪に当てたとき、コテやアイロンの発熱部分は冷えた髪に熱を奪われるため、約50℃ほど温度が下がるそうです。
そのため、極端に低温でスタイリングした場合カールやストレートがつきにくく、同じ毛束に何度も・じっくりとコテ・アイロンを通すこととなり髪へ過度の摩擦や熱を与えてしまい、結果的にダメージに繋がる恐れもあります。
使用にあたり2度目・3度目と回を重ねると髪は硬くなりがちですので、回を重ねる場合、薬剤の濃度を下げ、アイロンの温度も下げて使用する事をお勧めします。
一般的に初回通常時は180℃、2回目以降の同ヶ所アイロンの場合は、もっと低温にして120℃~160℃が望ましいと考えます。
「プレックス剤を高濃度で繰り返すと毛髪が硬くなりやすい」とよく言われますが、・・・高濃度に加え、これは高温アイロンによる「熱変性」によるところもとても大きいのではないかと思われます。
髪のダメージ指標として「システイン酸」と言われるが、それは何?
システィン酸とは、シスチンが酸化して出来た酸化物質・毛髪のダメージ指標ともされる。化学式: C3H7NO5S
パーマ施術やブリーチ施術をおこなった毛髪において、ジスルフィド結合(SS結合)が切れた状態のシステイン残基が酸化して出来たものをシステイン酸と呼びます。
システイン酸の生成反応
-S-S-→ 酸素(O):6個*過度な酸化→ -SOO-OH- HO-OOS-
美容師ならだけでも知っているSS結合のS-Sの結合が切れて、S単体になったものを「システイン残基」と呼び、再結合したくても対になるS単体が近くにない為、再結合出来ずにいると酸素が入り込み「-SOO-OH- HO-OOS-」という状態になり、SとSが再結合出来なくなる状態になったものを「システイン酸」と呼びます。1度このシスティン酸になった状態のものは元には戻せません。
本来、SS結合(ジスルフィド結合)があることで、毛髪には強度(ハリ)や弾力性(コシ)が持たされているのですが、この細胞間の結合が分断されることで、毛髪細胞同士がバラバラになり、毛髪は弾力・コシを保てなくなり、パサつき・切れ毛が起こりやすくなります。また、細胞と細胞の隙間から毛髪に必要な栄養が流出しやすくなるため、髪の毛のダメージはさらに進みます。結果、髪の毛のツヤがなくなったり、パサパサ・ゴワゴワになったりするわけです。ちなみにシステイン酸が増える原因としては、パーマ・カラーが代表的です。
多くのプレックス剤は、このシステイン酸になる前のシステイン残基にプレックス剤に含まれる成分が改善作用をしてくれるのです。作用することによってシステイン残基がシステイン酸にならないなどのダメージ進行を止める作用をしてくれます。細胞間の結合をこのプレックス剤の成分が作用させてバラバラになる事を防いでくれるのです。その為に髪を補強・髪質改善など期待できるという仕組みです。
美容新処理剤(原材料)
※ 充分精通した情報を収集したつもりですが、薬機法により記載できない内容事項や裏付けを取った100%完璧な情報とは言えないものも一部含みますので、自己判断の上ご活用ください。
詳細情報は、以下「成分名称」をクリックしてご覧ください
トステア : 表示名称:アミノエチルチオコハク酸ジアンモンニウム
トステア 表示名称 : アミノエチルチオコハク酸ジアンモンニウム [原料メーカー:オリエンタルケミカル]
トステアは、髪質や毛髪の感触改良に良好な効果を発揮することが期待できる新たな髪質改良原料です。カール形成やストレートにすることを目的とした毛髪用化粧料やシャンプー、トリートメント 、ヘアミスト等、幅広いヘアケア化粧品に配合することでカールやストレートの保持力向上、毛髪のねじれ・うねりの補正効果が期待できます。成分が髪の内部まで浸透し、切れ毛・枝毛などの原因となる毛髪内のダメージホールに働きかけ、髪のダメージを補修します。
毛髪の引張り強度が向上し、ねじれやうねりを改善、そして、スタイリングの保持力を向上させます。
[期待できる効果・効能]
・毛髪のねじれ やうねり の補正効果
・毛髪の 手触り・感触を改善
・毛髪 の引張り強度の向上
・毛髪のカール・ストレート保持力の向上 等
持続期間 : 個人差はありますが、ほぼ1ヶ月程度
トステアがTBSの「THE TIME」で紹介 大反響!!
トステアがTBSの「THE TIME」で紹介の一部
トステアの性質
施術温度が高いほど(80℃以上)、pHが高い(pH6以上)ほど、効果を発揮。特にダメージ毛に関して顕著に効果が高い。また、熱を加えなくてもある程度の効果は上がるが熱を加えた方が効果は高い。
トステアは髪と結合しているので、シャンプーで洗い流した後でも効果は持続し、回を重ねることでより効果が高くなり、クセやうねりなどが落ちつきます。
pHもpH6〜pH7.8と中性域である為、安全性も比較的高いと思われます。
トステアとペプチド結合との架橋で強化
毛髪を組織するペプチド結合のCOとNH部分のC(炭素)部分とN(窒素)部分と結合して、架橋することで毛髪の強度を高める働きをする。
ペプチド結合の際、らせん状に結合しているのでこの結合によってダメージホールを補修する働きが出ます。「カール(ストレート)の保持力」が増し、「ねじれ」「うねり」が取れやすくなり感触が良くなります。
トステアは3ヶ所が架橋するので非常に強い補修力があります。
弊社扱い該当製品
店販品 t/ Curl & Straight Keep Mist (ティースラッシュ・カール アンド ストレートキープ ミスト)
弊社扱い該当製品
トステア配合量・業界最大含有量の業務用 2024/07/31現在
施術用(業務用) ゴッホ・バービートリートメント
エルカラクトン : 表示名称 : γ-ドコサラクトン
エルカラクトンは、日本精化で開発した毛髪アンチエイジング素材です。植物由来(菜種)のヘアケア成分で、ドライヤー、ヘアアイロンなどの熱により毛髪と反応、結合して補修します。
毛髪キューティクルのめくれ上がりを改善し、「うねり」「絡まり」「まとまらない」「ハリコシがない」などの加齢により増加する毛髪の様々な悩みを改善します。
毛髪と結合していることで、使用直後だけではなく、シャンプー等で洗い流した後でもこれらの毛髪改善効果が持続します。( 持続期間2週間~4週間 )
ヘアケア原料:毛髪アンチエイジング素材 「エルカラクトン」
INCI : GAMMA-DOCOSALACTONE
表示名称 : γ-ドコサラクトン
エルカラクトンは、日本精化株式会社が開発したナタネの種子から得られるエルカ酸(cis-13-ドコセン酸)から誘導された植物由来のラクトン(化合物)です。
エルカラクトンの原材料 : 植物のナタネ (※ナタネは菜類の種子・植物学的にはナタネという植物は存在せず、アブラナや西洋アブラナの中で搾油用に子実を利用する作物の名称です。)
エルカラクトンに期待できること・・・弾力感、滑り感、指通り感、ツルツル、まとまり・納まり
アイロンの設定温度は、髪質に合わせて130℃~180℃目安。ドライヤーでも良いので、60℃以上で反応する。
上記のアミノ基と結合する部分は、酸熱で使われるグリオキシル酸のイミン結合と同じ結合だと思いますので、無理にグリオキシル酸を使用しなくても「エルカラクトン」で同様なことは可能なのです。
※イミン結合 : 炭素-窒素二重結合のこと。イミン (imine) とは有機化合物の分類のひとつで、構造式が R’-C(=NR”)-R と表される、炭素-窒素二重結合を持つ化合物です。
アメイジングウォーター78
アメイジングリラクサー
キュアクリスタル エルカラケア100
アルガノミクス キューティジェル
マレイン酸 : (ジカルボン酸の一種) C4H4O4
マレイン酸は、鎖状不飽和ジカルボン酸のひとつ。構造式 HOOC–CH=CH–COOH で表される二価カルボン酸のうち、シス体を指す。同じ示性式だがトランス体であるものは、フマル酸と呼ばれる。シス体よりトランス体の方が安定している。
2つのカルボキシル基が接近する場合、脱水縮合反応を起こし、無水マレイン酸になる。
(左)マレイン酸(シス型) (右)フマル酸(トランス型) COOHが下側に配列されているものをシス体・COOHが反対側に高い違いに配置されたものをトランス体と呼びこの配置だけでマレイン酸とフマル酸と区別される。シス体よりトランス体の方が安定している。但し、マレイン酸の方が水に溶けやすく、フマル酸は水に溶けにくい。マレイン酸の融点133~134℃なので135℃以上で加熱するとフマル酸に異性化するが、強熱すると水を失って無水マレイン酸に変わり、水に溶けにくくなる。
「シス」とは、ラテン語で「こちら側にものが集まっている状態」という意味で「トランス」は「乗り越えて移動している状態」の意味。
構造式 : HOOC-CH=CH-COOH
分子量 : 116.07
通常化粧品では、香料やpH調整剤に利用される。
マレイン酸は、ひとつのシスティン残基と結びつき、この時にできたアミノ鎖の先端が毛髪内で何らかの結合を生むと考えられ、システイン酸の生成を抑制
ブリーチ、カラーなどによるダメージ指標とされるシステイン酸になることを防ぐ。これによって毛髪強度低下を防げるが元々の毛髪以上に強度アップするには繋がらない。パーマやカラーなどによってシスチン(S-S)のS(硫黄)同志のつながりが切れて、システイン(S)になり、そのシステイン(S)同志が再結合してシスチン(S-S)に戻れば良いのですが、戻れなかったシステイン(S)に酸素が結合して、-SOO-OH- HO-OOS-となってしまい、システイン酸(C3H7NO5S)になるのですが、それを防いでくれます。
保湿効果も期待できる
過度な過酸化物の発生を防ぐ効果
使用にあたっては、高温アイロンなども使う必要もないので、毛髪のダメージには繋がらない。
持続力はそれほど強くないが、カラーなどによるダメージを軽減して、システインとマレイン酸の架橋によってハリが生まれる。
但し、マレイン酸と一緒に添加された成分によって使用感や結果は変わることがあるので(製品価値)、あくまで「マレイン酸」単体のことと判断してください。
ジマレイン酸 : マレイン酸が(ジ=2)2つ付いている成分
弊社、取り扱いのAP.P.ダメージケアトリートメントプライマーをベースに紹介させて頂きます。
カラー・ブリーチ・パーマのダメージを補修! ハリコシのある艶髪に導く
カラーやブリーチ・パーマによる毛髪損傷を補強。薬剤などにより切り離されたシステインを架橋し、ダメージを受けた毛髪の補強を致します。
また、カラー時に使用することにより発色とカラー定着が高まります。カラー持続としても効果的です。
ジマレイン酸系毛髪処理剤
毛髪内の2つのシスティン残基と結びつきS-S結合を架橋
マレイン酸は、シスチン結合(SS結合)の再結合は出来ませんが、ジマレイン酸はシスチン結合(SS結合)にも再結合するので、毛髪強度低下を防ぎ、さらに毛髪強度を上げることが出来る成分。
厳密に言うとSS結合のS-S同士の再結合ではありません。ジマレイン酸がSS結合の切れて分離したS(システイン)に結合し、つなぎ合わせる(架橋)と言った方が正しいかと思います。
さらに切れたSS結合の片方であるシステイン残基をそのまま放置しておくと、ダメージ指標のシステイン酸に変化するので、システイン残基にも結合して(S+ジマレイン酸)システイン酸になる事を防ぎます。
写真左)AP.P.ダメージケアトリートメントプライマー 業務用 <フローラルブーケの香り> 300g
(写真右)AP.P.ダメージケアトリートメントプライマー 業務用 <リフレッシュシトラスの香り> 300g
ファイバーハンス :(グルコン酸・グルコナミド)金賞受賞成分(2017年) 内側構造の強化
ファイバーハンス(FibreHance)は、ヘアケア製品に使用される成分で、髪の強化や修復を目的としています。ファイバーハンスは特に、髪の内部構造を強化し、ダメージを受けた髪を補修する効果があるとされています。
ブドウ糖(グルコース)由来の髪を補強するための成分であり、毛髪内部のコルテックスで働くよう設計されているため、毛髪内部から髪の強度を高め、髪にハリとコシを与えることが可能。毛髪の主成分であるケラチンと結合するため、ケラチン繊維を補強して丈夫で健康な髪へ導きます。内部から強度を高めるため、洗髪後も効果が持続し、ダメージヘアだけでなく健康な髪にも使え、毛髪を内外両面から保護します。
両端が親水性で中央が疎水性の構造を持つ低分子化合物で、水素結合とイオン結合を作り出し、毛髪内部のコルテックスで働くよう設計された特異な分子構造を持っているため、毛髪の内部から髪の強度を高め、髪にハリとコシを与えることが可能。毛髪中のα – へリックス(ケラチン鎖 / 青色)とfiberhance(ファイバーハンス)(赤色)が結合し、弱った毛髪を補強します。
ファイバーハンスの主な効果
髪の強化:ファイバーハンスは、髪の内部結合を強化することで、髪の強度を向上させます。これにより、髪がより健康で丈夫になります。
ダメージ修復:化学処理や熱によるダメージを受けた髪を修復する効果があります。髪の内部結合を補修し、髪の健康を回復させます。
保湿効果:ファイバーハンスは、髪の水分保持を助けることで、乾燥やダメージを防ぎます。これにより、髪がしっとりとした質感を保つことができます。
ツヤの向上:髪の内部構造が強化されることで、髪の表面が滑らかになり、自然なツヤが増します。
切れ毛や枝毛の予防:髪の強度が向上することで、切れ毛や枝毛の発生を減少させる効果があります。
まとめ
ファイバーハンスは、髪の強化、ダメージ修復、保湿、ツヤの向上、切れ毛や枝毛の予防など、多くの効果をもたらす成分です。
リンゴ酸 : ジカルボン酸の1種
「リンゴ酸」はその名の通り、リンゴから発見された成分です。リンゴやブドウに多く含まれ、爽やかな酸味があり、食品添加物として数多くの食品に使用されています。
リンゴ酸とは、ヒドロキシ酸に分類される有機化合物の一種。オキシコハク酸ともいいます。
リンゴ酸はさわやかで爽快感のある酸味を持つのが特徴で、スポーツドリンク、炭酸飲料などの清涼飲料水、シャーベット、アイスクリームなどの冷菓、チューインガム、キャンディー類やジャム、ソース類、麺類、漬物などの加工食品向けの酸味料、日持ち向上剤、pH調整剤として幅広く使用されています。 食品用途以外でも、化粧品や医薬品、農業(土壌改良剤や飼料)、漁業(飼料や除藻剤)、精密産業(洗浄剤)など、さまざまな用途・分野で使用されています。
主な化粧品の配合目的 : 酸性によるpH調整・pH緩衝が主に利用・プレックス剤としての使用もあるが主力原料にしている製品は少ない
リンゴ酸は酸性を示す有機酸であることから、製品自体のpH調整や製品に化粧品原料を配合する際に中和するpH調整剤として使用されています。
また、あるメーカーの調査では、リンゴ酸が毛の内部に浸透すると熱を加えなくても髪の応力緩和が高まることを発見。リンゴ酸を含む製剤でくせ・うねり毛を処理※1 すると、強くブローをしなくとも、すっと伸ばしやすい素直な髪に変えることができたという報告もあります。リンゴ酸は毛髪の内部に作用して形を付けやすくするため、束になって固まったり、べたついたりすることもありません。※1 毛束にリンゴ酸 0.75%配合のモデル製剤を塗布後、5分放置して洗い流す処理を3回 繰り返して評価。
レブリン酸 : レブリン酸 C5H8O3の化学式で表される有機化合物である。カルボン酸の一種 (酸熱トリートメント施術の有効成分)
レプリン酸とは
レブリン酸は、酸熱トリートメントとしてよく使用されています。毛髪にレブリン酸を含むトリートメントを施し、高温アイロンの熱をかけると、毛髪内でレブリン酸による架橋形成が出来ます。レブリン酸の架橋によって、毛髪が疎水性に傾き、毛髪内に余分な水分が入りにくくなります。架橋によってハリやコシが出るため、トリートメント効果が得られます。通常時、化粧品に配合される場合は、従来、防腐補助に利用されることが多く、美容室で使う酸としてはゆるやかな酸のうちの1つです。酸性域であることからアルカリの除去効果も見込めます。
【 反応のプロセス 】
毛髪内に水素(H)を2つもったアミノ基(NH2)が入ります。それにアイロン等で高熱を加えるとその水素が脱水縮合反応で、アミノ基(NH2)同士がイミン結合によって架橋をつくる。イミン結合したアミノ基(NH2)が毛髪内の主鎖のアミノ酸などに架橋して「うねり」などを解消してくれ、、ハリ・コシ、滑らかさを生み出しますが、持続力は一般的に2~3週間程度とされていますが、2ヶ月以上持つ方もいらっしゃいます。【レブリン酸】の他に同様なものとして【グリオキシル酸】などが酸熱トリートメントとして、現在よく使用されています。
レプリン酸は、本来水が出入りする場所を結合(架橋)することで自然水を封鎖し、髪の毛の中に余分な水分が入りずらくなり、髪の毛を擬似的に疎水性に振ることができます。毛髪内部のコルテックスに架橋をつくり、ハリやコシを与えるという流れで毛髪を変化させていき、それによってうねりなどのフォルム解消が出来ます。
【注意事項】
ヘアカラーリング後にすると毛染めで発色した色素を押し出したり壊したりするので、せっかく染めたヘアカラーの色が抜けて褪色してしまいますが、同類のグリオキシル酸と比較するとカラーの色落ちはとても少ないと言えます。
「プレックス剤を高濃度で繰り返すと毛髪が硬くなりやすい」と言われますが・・・これは、高濃度に加えて、高温アイロンによる「熱変性」によるところもとても大きいのではないかと思われます。「熱変性」とはタンパク質の分子の立体構造が熱により変化して性質が変わることを言います。タンパク質を含む食品の代表である卵を茹で、熱を加えると、白身や黄身が固まります。これは熱変性によるものです。同様に髪もタンパク質(アミノ酸)ですので、同様なことが起こるのです。「タンパク質の熱変性」は、髪が乾いている状態だと約130℃ぐらいから、髪が濡れていると約60℃ぐらいから熱変性が始まると言われており、「タンパク質の熱変性」を考えた場合、熱変性の無い130℃以下でスタイリングした方が、髪に優しいのかと思います。しかし、コテやアイロンを髪に当てたとき、コテやアイロンの発熱部分は冷えた髪に熱を奪われるため、約50℃ほど温度が下がるそうです。
そのため、極端に低温でスタイリングした場合カールやストレートがつきにくく、同じ毛束に何度も・じっくりとコテ・アイロンを通すこととなり髪へ過度の摩擦や熱を与えてしまい、結果的にダメージに繋がる恐れもあります。使用にあたり2度目・3度目と回を重ねると髪は硬くなりがちですので、回を重ねる場合、薬剤の濃度を下げ、アイロンの温度も下げて使用する事をお勧めします。
一般的に初回通常時は180℃、2回目以降の同ヶ所アイロンの場合は、もっと低温にして120℃~160℃が望ましいと考えます。
まとめ
・髪の毛を疎水性に振れる(擬似健康毛)擬似的に髪の毛を疎水性に振れます。
・髪の毛にハリコシがでる 今までになかったイミン結合が発生することで、髪の毛にハリコシがでます。
・自然なツヤが出せる
・効果の持続力は、2~3週間~最大2ヶ月目処
・高温のアイロンを使用するので、熱によるダメージが懸念されますので、リタッチ部などに関しては薬剤を低濃度し、アイロン温度を下げての施術が望ましい。
・残臭が強い
美容師さんからの情報では、レプリン酸が適している髪質は、①硬い髪 ②広がる癖との事です。
ジカルボン酸 : 2つのカルボキシル基(COOH)をもつ有機化合物の総称。( 分子式 HOOC−R−COOH )
ジカルボン酸は、2つのカルボキシル基(COOH)をもつ有機化合物の総称( 分子式 HOOC−R−COOH ) で、多数の種類がある。簡単に言うとカルボキシル基(COOH)が2つ含まれる物質を総称としてジカルボン酸と言う。(ジ=化学用語(倍数接頭辞)で2個を表す簡単なことで、一つの場合はモノ・3つならトリ・4つならテトラと呼ぶ・HOOC−R−COOH はCOOHが2つあるのでジカルボン酸)。
また、カルボン酸は、カルボキシル基を一つだけ持った化合物の総称: カルボキシル基(COOH)1個の例 : 飽和モノカルボン酸のひとつとして、酢酸CH3COOH・ギ酸 HCOOHなどの他多数ある。最も単純なジカルボン酸はカルボキシ基同士が結合したシュウ酸である。 この他にも天然に合成される有名なものにクエン酸(レモンなど)や酒石酸(タマリンドなど)がある。
主なジカルボン酸の種類
マレイン酸もジカルボン酸(構造式 : HOOC-CH=CH-COOH 化学式:C4H4O4)
その他・シュウ酸(COOH)2・フマル酸・リンゴ酸・マロン酸・コハク酸・グルタル酸・アジピン酸・セバシン酸・フタル酸・イソフタル酸・テレフタル酸・他多数
ジカルボン酸は種類が沢山あるが違いは何か?
それぞれの化学構造や性質によって用途や特性が異なります。以下に、代表的なジカルボン酸の種類とその違いについて説明します。
マロン酸 (Malonic Acid)
- 化学式: C3H4O4
- 構造: HOOC-CH2-COOH
- 特徴: 化学合成において、中間体として使用されることが多いです。特に、マロニル基の提供者として重要です。
グルタル酸 (Glutaric Acid)
- 化学式: C5H8O4
- 構造: HOOC-(CH2)3-COOH
- 特徴: 尿中での異常代謝物として見られることがあり、医療分野での代謝障害の診断に利用されます。また、ポリマーの製造にも用いられます。
アジピン酸 (Adipic Acid)
- 化学式: C6H10O4
- 構造: HOOC-(CH2)4-COOH
- 特徴: ナイロンの製造原料として非常に重要です。また、食品添加物(酸味料)としても使用されます。
フタル酸 (Phthalic Acid)
- 化学式: C8H6O4
- 構造: ベンゼン環に2つのカルボキシル基がついた構造(HOOC-C6H4-COOH)
- 特徴: 可塑剤の製造において非常に重要です。プラスチックの柔軟性を高めるために使用されます。
まとめ
ジカルボン酸は、その分子内の炭素鎖の長さや配置によって物理的および化学的特性が大きく異なります。そのため、用途や使用される分野も多岐にわたります。ジカルボン酸の特性を理解することで、適切な用途に応じた選択が可能になります。
最近よく耳にする3種のジカルボン酸を調べてみました「コハク酸・酒石酸・マレイン酸」
コハク酸を髪への製品に使用した場合、
- 保湿効果:コハク酸は保湿効果を持っており、髪の水分保持を助けることで、乾燥やダメージを防ぎます。これは特に乾燥しやすい髪や頭皮に対して有効です。
- pH調整:コハク酸は酸性度を調整する能力があり、髪と頭皮のpHバランスを整えるのに役立ちます。適切なpHバランスは、髪の健康とツヤを保つために重要です。
- 抗酸化作用:コハク酸には抗酸化作用があり、髪と頭皮をフリーラジカルのダメージから守ります。これにより、老化の兆候やダメージを軽減する効果が期待できます。
- 抗菌効果:コハク酸は抗菌効果も持っており、頭皮の健康を保つのに役立ちます。これはフケや炎症の予防に効果的です。
- コンディショニング効果:コハク酸を含む製品は、髪の柔軟性と滑らかさを向上させるためのコンディショニング効果を提供します。これにより、髪が扱いやすくなり、スタイリングも容易になります。
- ダメージ修復:コハク酸は、ダメージを受けた髪の補修を助けることがあります。髪の内部構造を強化し、切れ毛や枝毛の発生を減少させる効果が期待されます。
酒石酸を髪への製品に使用した場合、
- pH調整:酒石酸は酸性度を調整する能力があり、髪と頭皮のpHバランスを整えるのに役立ちます。適切なpHバランスは、髪の健康とツヤを保つために重要です。
- 保湿効果:酒石酸は保湿効果を持っており、髪の水分保持を助けることで、乾燥やダメージを防ぎます。これにより、髪がしっとりとした質感を保つことができます。
- 抗酸化作用:酒石酸には抗酸化作用があり、髪と頭皮をフリーラジカルのダメージから守ります。これにより、老化の兆候やダメージを軽減する効果が期待できます。
- 角質除去(エクスフォリエーション):酒石酸はアルファヒドロキシ酸(AHA)の一種であり、角質除去作用があります。これにより、頭皮の古い角質や汚れを取り除き、新陳代謝を促進します。健やかな頭皮環境が髪の健康に寄与します。
- コンディショニング効果:酒石酸は髪を滑らかにし、コンディショニング効果を提供します。これにより、髪が柔らかく、扱いやすくなり、スタイリングが容易になります。
- カラー保持効果:酒石酸のpH調整効果により、染毛後の髪の色持ちが良くなることがあります。酸性環境は髪のキューティクルを閉じ、色素の流出を防ぐため、染めた髪の色を長持ちさせる効果が期待できます。
マレイン酸髪への製品に使用した場合
- pH調整:マレイン酸は酸性度を調整する能力があり、髪と頭皮のpHバランスを整えるのに役立ちます。適切なpHバランスは、髪の健康とツヤを保つために重要です。
- 保湿効果:マレイン酸は保湿効果を持っており、髪の水分保持を助けることで、乾燥やダメージを防ぎます。これにより、髪がしっとりとした質感を保つことができます。
- コンディショニング効果:マレイン酸を含む製品は、髪の柔軟性と滑らかさを向上させるためのコンディショニング効果を提供します。これにより、髪が扱いやすくなり、スタイリングも容易になります。
- 抗酸化作用:マレイン酸には抗酸化作用があり、髪と頭皮をフリーラジカルのダメージから守ります。これにより、老化の兆候やダメージを軽減する効果が期待できます。
- 角質除去(エクスフォリエーション):マレイン酸はアルファヒドロキシ酸(AHA)の一種であり、角質除去作用があります。これにより、頭皮の古い角質や汚れを取り除き、新陳代謝を促進します。健やかな頭皮環境が髪の健康に寄与します。
- カラー保持効果:マレイン酸のpH調整効果により、染毛後の髪の色持ちが良くなることがあります。酸性環境は髪のキューティクルを閉じ、色素の流出を防ぐため、染めた髪の色を長持ちさせる効果が期待できます。
- キューティクルの修復:マレイン酸は髪のキューティクルを修復し、髪の表面を滑らかにする効果があります。これにより、髪の輝きが増し、ダメージを受けた髪が健康に見えるようになります。
3種のジカルボン酸「コハク酸・酒石酸・マレイン酸」を調べるとどれも同様な効果と思われ、何を目的に使用するかということが重要かと思います。
まとめ
ジカルボン酸は、2つのカルボキシル基(COOH)をもつ有機化合物の総称( 分子式 HOOC−R−COOH ) で、多数の種類があり、美容業界で近年使用される添加剤としての最重要点は、上記マレイン酸で記載したことと変わらず、毛髪内に浸透するとジカルボン酸がシステイン・シスチンなどに毛髪内部で吸着架橋することで毛髪内の空洞化を防ぎ、細胞間がバラバラになる事を防いで補強してくれます。但し、パーマ・縮毛矯正などでの使用は、2液の効果を減少させるのでお勧めしません。そのほかに様々な使い方が考えられるので、使用する意図に応じた製品を使用すると良いかと思います。
サルチル酸
一般的にサリチル酸は、皮膚の角質を軟化させる作用や、水虫の菌(白癬菌)をおさえる作用があり、 乾癬や角化症、湿疹、ざ瘡(にきび)、水虫などの治療に用いられています。 美容成分に於いては、角層軟化、角層剥離・溶解、抗炎症、防腐、PH調整剤
しかし、肌への刺激が強くアレルギーを引き起こすことが認められ、「サリチル酸及びその塩類」として旧表示指定成分となっています。
化粧品にサリチル酸が配合される場合もある。ピーリング作用のある化粧品・洗顔料などではサリチル酸の配合濃度は、日本では最大でも100g中に0.20gまでに規制されている。サリチル酸エタノールでは皮膚に3-4mmまで浸透し血流に入り、低濃度の2%では皮膚に問題は起こらないが、特に20%以上の高濃度ではサリチル酸中毒が生じる。一般的な化粧品では2%まで配合され、専門的なケミカルピーリングでは10-30%といった濃度で用いる。
日本では、1879年から飲食物の防腐剤として、1903年以降は酒の防腐剤として用いられていた。しかし、WHO の勧告や世論の反対運動などによって、1969年に食品添加物としての使用が全面禁止となった。
弊社では、サルチル酸について、残念ですが、処理剤としての活用情報が少なく、誤ったことも記載できませんのでご理解ください。
美容室様のサイトに
「サリチル酸配合の酸熱トリートメントは、パーマをしている髪に相性が良いとされています。ただ、酸熱トリートメントとしての効果は実感しづらいと言われ、システムトリートメントに近いかもしれません。サリチル酸の酸熱トリートメントは、パーマヘアとの相性が良いことが特徴です。その一方で、クセ毛の改善はあまり見込めません。強い効果が得られないため、パーマヘアを維持しながら酸熱トリートメントをしたい方や、うねりやクセ、ダメージがそこまで酷くない方におすすめです。」と記載されているサイトが何社かありましたが、詳しい情報等は解りません。
グリオキシル酸 : C2H2O3 カルボン酸の一種 (酸熱トリートメント施術の有効成分)
グリオキシル酸を使用した脱水縮合反応によるイミン結合(基本的には、レブリン酸もほぼ一緒)
【 毛髪に対する効果 】
◇うねり・ゆがみなどの改善し、まとまりを良くする (但し、縮毛矯正とは違って、持続性も弱いので縮毛矯正としては不可・あくまでうねり改善を謳った方が良い)
◇髪の毛にハリコシがでる (今までになかったイミン結合が発生し、架橋することで、髪の毛にハリコシがでます)
◇ 性域なので収れん効果も高いことから毛髪表面が綺麗に整う
◇ツヤが出る
◇特に弱った細毛に効果が高くハリコシをもたらし・ツヤが出る・ダメージ毛の修復効果が高い
◇髪の毛を疎水性に振れる(擬似健康毛)擬似的に髪の毛を疎水性に振れます。
【 反応のプロセス 】
毛髪内に水素(H)を2つもったアミノ基(NH2)が入ります。それにアイロン等で高熱を加えるとその水素が脱水縮合反応で、アミノ基(NH2)同士がイミン結合によって架橋をつくる。
イミン結合したアミノ基(NH2)が毛髪内の主鎖のアミノ酸などに架橋して「うねり」などを解消してくれますが、持続力は一般的に2~3週間程度とされていますが、2ヶ月以上持つ方もいらっしゃいます。
【注意事項】
◇残臭が強い(残臭を取るトリートメント剤などもあります)
◇その後のパーマや縮毛矯正は不可(毛髪によっては適さない)
◇ヘアカラーの色落ちリスクは高い・・・ヘアカラーリング後にすると毛染めで発色した色素を押し出したり壊したりするので、せっかく染めたヘアカラーの色が抜けて褪色してしまいます。
◇高温のアイロンを使用するので、熱によるダメージが懸念されますので、リタッチ部などに関しては薬剤を低濃度し、アイロン温度を下げての施術が望ましい。
「プレックス剤を高濃度で繰り返すと毛髪が硬くなりやすい」と言われますが・・・これは、高濃度に加えて、高温アイロンによる「熱変性」によるところもとても大きいのではないかと思われます。
「熱変性」とはタンパク質の分子の立体構造が熱により変化して性質が変わることを言います。タンパク質を含む食品の代表である卵を茹で、熱を加えると、白身や黄身が固まります。これは熱変性によるものです。同様に髪もタンパク質(アミノ酸)ですので、同様なことが起こるのです。「タンパク質の熱変性」は、髪が乾いている状態だと約130℃ぐらいから、髪が濡れていると約60℃ぐらいから熱変性が始まると言われており、「タンパク質の熱変性」を考えた場合、熱変性の無い130℃以下でスタイリングした方が、髪に優しいのかと思います。しかし、コテやアイロンを髪に当てたとき、コテやアイロンの発熱部分は冷えた髪に熱を奪われるため、約50℃ほど温度が下がるそうです。
そのため、極端に低温でスタイリングした場合カールやストレートがつきにくく、同じ毛束に何度も・じっくりとコテ・アイロンを通すこととなり髪へ過度の摩擦や熱を与えてしまい、結果的にダメージに繋がる恐れもあります。使用にあたり2度目・3度目と回を重ねると髪は硬くなりがちですので、回を重ねる場合、薬剤の濃度を下げ、アイロンの温度も下げて使用する事をお勧めします。
一般的に初回通常時は180℃、2回目以降の同ヶ所アイロンの場合は、もっと低温にして120℃~160℃が望ましいと考えます。同時にグリオキシル酸濃度も下げて使用することをお薦めします。
活性ケラチン : Active Keratin
活性ケラチンとケラチンの違いについて説明します。
ケラチン (Keratin)
概要: ケラチンは強靭な構造タンパク質で、髪、爪、皮膚の外層、鳥の羽毛、動物の角や蹄などに多く含まれています。
構造: ケラチンはα-ヘリックス(αケラチン)とβシート(βケラチン)の2つの形態があります。これらの繊維状タンパク質はシステインによるジスルフィド結合により強固な構造を持ちます。
機能: ケラチンは組織に強度と弾力性を与え、外部からのダメージから保護します。
活性ケラチン (Active Keratin)
概要: 活性ケラチンは通常のケラチンと異なり、特定の処理を施して生体において活性を持つ形にしたケラチンです。主に化粧品やヘアケア製品に使用されます。
加工方法: 活性ケラチンは酵素分解や化学処理によって得られ、これによりケラチンが分解されてペプチドやアミノ酸に分割されます。これらの分解産物は小さな分子であり、皮膚や毛髪に容易に吸収されます。
機能と効果: 活性ケラチンは髪や皮膚に直接吸収されることで、修復、保湿、強化などの効果を発揮します。これにより、髪のツヤやコシが増し、ダメージの修復が促進されます。
「活性」とは、一般的には何かが機能的に働いている状態を指し、特定の分野ではその分野に特有の意味を持ちます。活性ケラチンの場合は、ケラチンが分解されて小さな分子となり、皮膚や髪に吸収されやすくなり、その結果として修復や保湿などの効果を発揮する状態を指します。
ヘマチン : HEMATIN C34H31FeN4O5-
ヘマチンの髪に対する特性効果に至る化学的な説明
ヘマチンの構造と基本特性
ヘマチン: ヘマチンはヘモグロビンの分解生成物で、鉄(Fe³⁺)を中心に持つポルフィリン環を有する化合物です。
化学構造: ヘマチンの構造は、鉄原子がポルフィリン環に結合し、その鉄に水酸基や塩基が配位した形態を取ります。
※ポルフィリンとは、4個のピロール環が4個の炭素で結合して閉環したポルフィンにメチル基などの側鎖のついた化合物の総称。生体内の酸化還元反応に重要な役割を果たしているヘモグロビン(血色素)、チトクロム類(呼吸色素)、クロロフィル(葉緑素)類などの色素部分を構成する化合物。
髪への特性効果の化学的理論
毛髪強化
ケラチンとの結合: ヘマチンは髪の主成分であるケラチンと化学的に結合します。ケラチンにはシステインというアミノ酸が多く含まれ、これがジスルフィド結合(S-S結合)を形成して髪の強度を保っています。ヘマチンはこのシステイン残基と相互作用し、さらなる強度と弾力性を与えることができます。
毛髪修復
酸化還元反応: ヘマチンは酸化還元特性を持ち、酸化ストレスに対する防御機構として機能します。髪のダメージは主に酸化反応によって引き起こされるため、ヘマチンが還元剤として作用することで、ダメージを受けた髪の分子構造を修復します。
白髪予防
メラニン生成の促進: ヘマチンはメラノサイトに作用してメラニン生成を促進します。メラニンは髪の色素を決定する色素であり、これが不足すると白髪が増えます。ヘマチンがメラノサイトを刺激することで、メラニン生成が増加し、白髪の進行を抑制します。
血行促進
鉄の供給: ヘマチンに含まれる鉄分は、血液循環を改善する効果があります。鉄は血液の重要な成分であり、ヘマチンが頭皮に供給されることで血行が促進され、毛根に必要な栄養素と酸素が供給されます。
抗酸化作用
フリーラジカルの除去: ヘマチンは強力な抗酸化作用を持ち、フリーラジカルを除去する能力があります。フリーラジカルは細胞を傷つける活性酸素種であり、ヘマチンがこれらを中和することで、髪や頭皮を酸化ストレスから守ります。
保湿効果
水分保持: ヘマチンはポルフィリン環の構造により、水分を保持する能力があります。これにより、髪の水分バランスが整えられ、乾燥を防ぎます。
フケやかゆみの防止
抗菌作用: ヘマチンは抗菌作用を持ち、頭皮の健康を改善する効果があります。フケやかゆみの原因となる菌の増殖を抑制し、清潔で健康的な頭皮環境を維持します。
まとめ
ヘマチンの髪に対する特性効果は、以下のような化学的理論に基づいています。
ケラチンとの結合による毛髪強化
酸化還元反応による毛髪修復
メラニン生成の促進による白髪予防
鉄分供給による血行促進
フリーラジカル除去による抗酸化作用
水分保持による保湿効果
抗菌作用によるフケやかゆみの防止
これらの特性により、ヘマチンは髪の健康と美しさを維持するための有効な成分として広く利用されています。
コポリマー : キューティクルの周りに皮膜を形成し毛髪の強度を高める効果もあります。
コポリマー(copolymer)とは、異なる種類の単量体(1個=モノマー)が化学的に結合して形成されたポリマーのことです。ポリマーとは基本的にモノマーが繰り返し結合した高分子化合物ですが、コポリマーの場合は2種類以上のモノマーが交互に、または特定のパターンで結合しています。
コポリマーは異なるモノマーを組み合わせることで、単一のポリマーでは得られない多様な特性を実現できる高分子材料です。モノマーの選択と配列を工夫することで、特定の用途に最適な材料を設計・製造することが可能です。
ヌースフィットのBジェルなどに使用されるコポリマーは、碁盤の目をした作り方をしている為に水や、パーマ剤などの分子量の小さなものは通すので、使用する薬剤を阻害しない様に作られています。その為、前処理で使用しても、その後に付ける薬剤を通すので阻害しません。
コポリマーを毛髪製品に使用すると、髪に対してさまざまな特性や効果を得ることができます。以下に、具体的な特性とその効果を説明します。
- 保湿効果
コポリマーの一部には親水性の部分があり、これが髪に水分を保持する役割を果たします。これにより、髪が乾燥するのを防ぎ、しっとりとした状態を保つことができます。 - 髪の強化
コポリマーは髪の表面に薄いフィルムを形成し、これにより髪が物理的なダメージから保護されます。また、このフィルムは髪の強度を高め、切れ毛や枝毛の発生を抑える効果もあります。 - 髪の滑らかさとツヤ
コポリマーが髪の表面にコーティングを施すことで、髪が滑らかになり、光沢が増します。これにより、髪がより健康的で美しく見えるようになります。 - 形状記憶効果
スタイリング製品に使用されるコポリマーは、髪の形状を記憶し、長時間その形状を保持する効果があります。これにより、カールやストレートスタイルが長持ちします。 - 抗湿気効果
コポリマーは髪の表面にバリアを形成し、湿気の影響を受けにくくします。これにより、湿気の多い環境でも髪が広がりにくく、スタイルを維持しやすくなります。 - 紫外線防御
一部のコポリマーは紫外線吸収剤としての機能を持ち、髪を紫外線のダメージから保護します。これにより、髪の色あせや乾燥を防ぐことができます。 - 髪の質感向上
コポリマーを含む製品は、髪の質感を改善し、触り心地を良くする効果があります。髪が柔らかく、ふんわりとした感じになります。 - 髪のボリュームアップ
ボリュームを出す効果のあるコポリマーは、髪をふんわりと持ち上げ、見た目のボリュームを増すのに役立ちます。特に細い髪やペタンとした髪に効果的です。
使用される具体的なコポリマー
VP/VAコポリマー(ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー): 保湿効果とスタイリング効果があり、ヘアスプレーやヘアジェルに使用されます。
アクリレーツコポリマー: 保湿効果、フィルム形成効果があり、シャンプーやコンディショナーに使用されます。
PEG/PPGコポリマー: 保湿と滑らかさを提供し、ヘアケア製品に広く使用されます。
まとめ
コポリマーは髪の保湿、強化、滑らかさ、形状記憶、抗湿気、紫外線防御、質感向上、ボリュームアップなど、多岐にわたる効果をもたらします。これにより、コポリマーを含む毛髪製品は、髪の健康と美しさを維持し、さまざまなスタイリングニーズに対応するのに非常に有用です。
PVP : (C6H9NO)n フィルム状の保護膜を作り、毛髪を保護する効果があります。
PVP(ポリビニルピロリドン)は、水溶性の合成高分子化合物で、幅広い用途で使用される多機能性のポリマーです。
PVPの概要と特性
化学構造: PVPは、ビニルピロリドンというモノマー(1個=モノマー)から生成されるポリマーです。このモノマーは、重合反応により長い鎖状の高分子化合物になります。
水溶性: PVPは非常に水溶性が高く、さまざまな溶媒に溶けやすい特徴を持っています。
無色無臭: PVPは無色で無臭であり、製品に色や匂いを与えないため、多くの用途で利用しやすいです。
非毒性: PVPは生体適合性が高く、医薬品や化粧品に使用しても安全性が高いとされています。
ヘアケア製品: ヘアスプレー、ヘアジェル、ムースなどに使用され、髪に形状記憶効果や固定効果を与えます。PVPは髪に薄いフィルムを形成し、スタイルを長時間保持します。
スキンケア製品: 保湿剤やフィルム形成剤として使用され、肌にしっとり感を与えます。
PVP(ポリビニルピロリドン)を毛髪製品に使用することで得られる髪への特性を理論的に説明します。
- 形状記憶効果と固定効果
理論: PVPはポリマーであり、長い分子鎖を形成します。この分子鎖は髪の表面に薄いフィルムを形成し、乾燥すると硬化して形状を固定します。ポリマーの分子間力(ファンデルワールス力や水素結合)により、形成されたフィルムは髪をしっかりと保持します。 - 髪の滑らかさと光沢の向上
理論: PVPの分子は髪の表面に均一なコーティングを形成します。このコーティングは髪の表面の凹凸を埋めることで滑らかにし、光を反射しやすくします。その結果、髪が滑らかで光沢のある外観になります。 - 抗湿気効果
理論: PVPは水溶性ですが、乾燥すると疎水性のフィルムを形成します。このフィルムは湿気の侵入を防ぎ、湿度の高い環境でも髪が膨張したり広がったりするのを抑えます。フィルムの密度と疎水性により、水分が髪に吸収されるのを防ぎます。 - ボリュームアップ効果
理論: PVPは髪の各ストランドにコーティングを施し、髪の太さを増すような効果をもたらします。さらに、髪同士の結合を促進し、全体のボリュームを増加させます。この効果は、PVPが髪に一定の剛性を与えることで実現されます。 - 髪の保護効果
理論: PVPのフィルム形成能力により、髪の表面に保護バリアが作られます。このバリアは外部の物理的ダメージ(摩擦、熱、紫外線など)から髪を保護します。ポリマーの強度と柔軟性が、外部のストレスを分散させ、髪を守ります。 - 洗い流しやすさ
理論: PVPは水溶性のポリマーであり、水分子と容易に相互作用します。これにより、シャンプーや水で容易に溶解し、髪から洗い流すことができます。ポリマーの親水性部分が水との相互作用を促進し、残留物を残さずに除去します。
分子構造の視点
PVPはビニルピロリドンの繰り返し単位からなる高分子で、その構造は以下のように説明できます。
ビニル基(-CH=CH2)がポリマーの主鎖を形成し、ポリマー全体の強度を提供します。
ピロリドン環(-C4H7NO)は親水性が高く、水と相互作用しやすいです。この部分がPVPの水溶性を決定します。
まとめ
PVPを毛髪製品に使用することで、形状記憶効果、滑らかさと光沢の向上、抗湿気効果、ボリュームアップ効果、髪の保護効果、洗い流しやすさなどの特性が得られるのは、PVPの分子構造とその物理化学的特性に基づくものです。PVPのポリマー特性により、髪の健康とスタイリングをサポートする多くの利点がもたらされます。
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