美容師なら、いまさら聞けない「タンパク質・PPT・アミノ酸」とは?
時間が経つと覚えていた知識も忘れてしまうこともあります。参考にしてください。
タンパク質・PPT・アミノ酸とは ?
タンパク質
毛髪は大半がケラチン蛋白質(ケラチンを含む蛋白質)で出来ている。蛋白質は約18~21種類のアミノ酸で出来ている。
その主だった19種類のアミノ酸の種類と組成(%) と 酸性・中性・塩基性
アミノ酸の種類 | 毛髪中の組成 % | アミノ酸の種類 | 毛髪中の組成 % | ||
アスパラギン酸 | 3.9~7.7% | 酸性アミノ酸 | プロリン | 4.3~9.6% | 中性アミノ酸 |
グルタミン酸 | 13.6~14.2% | 酸性アミノ酸 | スレオニン | 7.4~10.6% | 中性アミノ酸 |
アラニン | 2.8% | 中性アミノ酸 | セリン | 4.3~9.6% | 中性アミノ酸 |
グリシン | 4.1~4.2% | 中性アミノ酸 | トリプトファン | 0.4~1.3% | 中性アミノ酸 |
イソロイシン | 4.8% | 中性アミノ酸 | チロジン | 2.2~3.0% | 中性アミノ酸 |
ロイシン | 6.4~8.3% | 中性アミノ酸 | バリン | 5.5~5.9% | 中性アミノ酸 |
メチオニン | 0.7~1.0% | 中性アミノ酸 | アルギニン | 8.9~10.8% | 塩基性アミノ酸 |
シスチン | 16.6~18.0% | 中性アミノ酸 | ヒスチジン | 0.6~1.2% | 塩基性アミノ酸 |
フェニルアラニン | 2.4~3.6% | 中性アミノ酸 | リジン | 1.9~3.1% | 塩基性アミノ酸 |
システィン | 0.5~0.8% | 中性アミノ酸 |
では、アミノ酸は何でできているのか?
アミノ酸は 炭素(C)水素 (H)酸素(O)窒素(N)の4元素から成立っているが、シスチン・メチオニンなどは4元素の他に硫黄(S)を含んでいて5元素から出来ています。
これらの元素は次のような一般式で表せられる、共通した構造の型で結合している
Rは側鎖 アミノ酸の種類で変る NH2をアミノ基と呼ぶ(塩基性)
COOHをカルボキシル基(酸性)と呼ぶ
この型・並び方はR以外はどのアミノ酸も共通している
それぞれのアミノ酸は、Rの構造によって異なるアミノ酸になる。
構造内に2つのカルボキシル基を持つアミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸)は、酸性アミノ酸
2つ以上のアミノ基を持つアミノ酸(リシン・アルギニン・ヒスチジン)は塩基性アミノ酸
その他のアミノ酸は、中性アミノ酸
※下記の様にカルボキシル基COOHの数が多い場合は酸性アミノ酸・アミノ基NH2の数が多い場合は塩基性アミノ酸と区分けされる。また、中性アミノ酸の場合は、アミノ基NH2とカルボキシル基COOHの数が等しい。
さらにPPTとはなに? (ポリぺプタイトと呼ぶ略称)
ぺプタイトとはアミノ酸とアミノ酸の化合物(結合した物)
“ ポリ ”とは多いの意味で、アミノ酸同士が結合して複数集まったものを言う
正確には2個は ジペプチド 3個 トリペプチド 4個 テトラペプチド 約10個以下を オリゴペプチド と言う
10個以上結合したものをPPTと呼ぶことが一般的
PPTには色々種類が有り特徴も違うのです。従って 用途も違ってきます
PPTは髪と同じ成分と考えて良いのですが・・・
毛髪の成分は、蛋白質(80~90%)と水分(11~13%)で出来ています。(其の他にメラニン色素・脂質・微量元素が僅かある)
大半を占める蛋白質だが、種類として「皮膚は 軟ケラチン(コラーゲン蛋白)」・「毛髪や爪は 硬ケラチン (ケラチン蛋白)」と分けることができるが、違いは「シスチン」を含むかどうか含まないかの違い。シスチンは、硫黄(S)が含むアミノ酸なので、燃やすと臭いのですぐわかる。
PPTとは何かと言う事は大筋わかったと思いますが・・・
PPTとは 毛髪を作り上げる原料のアミノ酸が沢山集ったもので髪の直接の栄養(蛋白質は一般的にアミノ酸が51個以上集まったものを言う)
さらにPPTの種類として
大きさの種類
・ 大きい分子量のPPT → 毛髪内に入らないPPT
・ 小さい分子量のPPT → 毛髪内に入るPPT
毛髪に入る大きさ=分子量600以下と言われている。分子量500以下が理想 ・ 枝毛、多孔性毛には分子量1000~1500ぐらいがいい
※毛髪内に入ると言う事はキューティクルの隙間からは入れる大きさと言う事・還元剤で膨潤している間はキューティクルの隙間も広がり、多少大きいものでも入る。
・ 大きい分子量のPPT 毛髪内に入らないから 毛髪を皮膜して保護等をする
・ 小さい分子量のPPT 毛髪内に入るPPTは毛髪内に栄養分を入れる事出来る
※毛髪内に入れる大きさを判断する際に分子量で表現する
分子量とはPPTの大きさ
正確にはアミノ酸の構成する5元素の原子量の合計 各元素の原子量は、次の通り
H 水素 原子量1 / C 炭素 原子量12 / N 窒素 原子量14 / O 酸素 原子量16 / S 硫黄 原子量32
例えば、
この上記を例にした分子量は、Nが2つ Hが6つ Cが2つ Oが2つ 使われている。使われている元素の原子量を合計すれば、分子量が分かる。
Nが2つ(14×2=28) Hが6つ(1×6=6) Cが2つ(12×2=24) Oが2つ(16×2=32) これの合計数がこのアミノ酸の分子量となる。
因みに合計数は、90となり分子量90となる。
PPTはアミノ酸の複合体である事はご存知の事だと思いますが、複合数によって分子量が変わってきます。(分子量は、大きさを表す表現)
アミノ酸1ヶでは、平均分子量120で、
PPT分子量 500~600 アミノ酸4~5ヶ結合したもの
PPT分子量 1,000 アミノ酸8ヶ~9ヶ結合したもの
PPT分子量 2,000 アミノ酸16ヶ~18ヶ結合したものと捉えておけば分かりやすいかと思います。
性格の種類 酸性PPT・中性PPT・塩基性PPT
但し、PPTは本来固体なので液体で混合させて使用するが、その液体が酸性であっても固体のPPTが、塩基性の場合は塩基性PPTであるので、水溶液のペーハーは関係ない。酸性PPTとは、酸性アミノ酸だけを集めたPPT・塩基性PPTとは、塩基性アミノ酸を集めたPPT。中性PPTとは 中性アミノ酸もしくは、全てのアミノ酸を混ぜ合わせたPPT
固形含有量 (アミノ酸濃度)の濃い・薄い
本来PPTは固形ですので使用しにくい為に水溶液と混ぜ合わせて使用しますが、
固形含有量の低く(濃度の薄い)、水溶液が多いPPTの場合、毛髪に付けて乾燥させた場合ほとんど毛髪中に残らなくなります。
ただの水を毛髪内に入れているだけになってしまいます。その為、毛髪内に入れるために使用する場合は適度に固形含有量の多いPPTが良い。
これら基本知識ができた上で、弊社の扱っているPPTを例にとって、用途的に考えてみると分かりやすいので、今後のPPT選びにお役立てください。
※油性分は健康毛ほど吸着量が多く・損傷毛ほどPPTの吸着量が多いが、理由として、健康毛は「エピキューティクル」が健全で、エピキューティクルは親油性であるからである。
以上の事から髪質や用途に合わせたPPTの使い方を考える事が必要で効果・効能が表現できるのです。
参考例 当社扱い PPTを参照
【リペタイトR (弊社オリジナル) 分子量400 PH6.0 塩基性アミノ酸】
- 毛髪内に入るPPT
- 塩基性アミノ酸 固形含有量35%通常の4~7倍の濃度
カチオン活性剤は中性PPTの酸性部分と造塩し、カチオン活性剤自体の効果を落とすばかりでなく造塩物で、べたつきがのこり不快な感じがしますが、塩基性アミノ酸はそれもなくしなやかでくし通りの良い艶のある柔らかな髪にします。
※2021年6月現在 完売 現在は、これに代わるものがある為製造していません。
【マルチPPT32 分子量300~30000 PH6.0~7.0 複合アミノ酸】
- 毛髪に入らないPPT・毛髪に入るPPTとしても使える
32種類のPPTが配合 ケラチンPPT・コラーゲンPPT・パールPPT・シルクPPT・羽毛PPT配合
32種類のPPTが配合 加温重合型PPT 羽毛ケラチン配合で、酸性域に傾くだけで重合し、毛髪内に定着する。様々な損傷毛に対して、適応し、毛先などにコシとしなやかさを与える。希釈使用でホームケア用としても使用でき、損傷毛には結果良
【パワーR2+ 分子量400~3000 PH4.5~5.5】
- 毛髪内部で架橋結合強化剤
架橋剤アクティブレジン・カチオン化高分子ケラチンPPT・加温重合型コラーゲンPPT
毛髪内部架橋結合強化剤 架橋性リアクティブレジンが毛髪内で架橋結合し強度回復。加温もしくはドライヤーで乾燥させることで・リピジュア・カチオン化ケラチンPPT・加温重合型コラーゲンPPT・カチオン化ヒアルロン酸が内部補修 希釈使用でホームケア用としても使用でき、損傷毛には結果良 トロ毛になりそうな時の復旧剤としても使用できる。
【リバイブファイバー 分子量1000 PH5.0】
- 毛髪に入らないPPT・毛髪に入るPPTとしても使える
中性アミノ酸 枝毛・多孔性損傷毛に適している。分子量500と分子量500のPPTをSS結合で結合したPPT
【モイストファイバー 分子量 2000 PH6.0】
- 毛髪に入らないPPT
塩基性アミノ酸 全体が多孔性損傷毛ではりやこしのない毛髪に最適で毛髪を硬くしっかりとしセットローションの樹脂膜より持続性がある
【KRT+ PH6.0~PH7.0】
- ◇分子量 KRT+(300~40000)比率的には低分子ケラチンPPTを多く配合
加水分解ケラチンPPT・カチオン化高分子ケラチンPPT・加温重合ケラチンPPT
内部浸透補修 加温重合型ケラチンとジェミニ型補修剤ペリセア+吸着性ヒアルロン酸。 比率的に低分子ケラチンPPTを多く配合(内部補修)損傷毛にしなやかな弾力を与える。
特長 重合ケラチンPPT、加水分解ケラチンPPT配合。ハイダメージヘアの修復やパーマ、ヘアカラー時の損傷防止効果があります。間充物質を補給すると同時にし、艶と感触も向上させます。
【PPT+ PH6.0~PH7.0】 ◇分子量・PPT+(1000~40000)比率的には高分子ケラチンを多く配合
重合コラーゲンPPT、加水分解ケラチンPPT、ジェミニ型補修剤ペリセア配合
表面接着 ハリ・コシ 高分子ケラチンPPTと加温重合型PPT+ジェミニ型補修剤ペリセア 表面に吸着し、間従物質の流失を防ぐ 比率的に高分子ケラチンを多く含むPPTですので被膜効果が高い
特長 重合コラーゲンPPT、加水分解ケラチンPPT配合。毛髪への浸透力が高く、かつ持続性に優れます。ウェーブやカラーの持続性を向上させます。間充物質を補給すると同時に、艶と感触も向上させます。加温重合型ケラチンを使用しているので、ドライヘアの状態で損傷部に本品を塗布した後、ハーフドライした方が良いかと思います。ジェミニ型補修剤を使用しているので、通常のものより吸着性が高いことになります。
以上、PPTを購入時参照するときにお役立ていただければと思います。
高価なPPTを使用する際にむだのない使い方
濃度の濃いPPTは2倍液にして、フォーマを使い、泡で塗布して使用する方法をお勧めします。濃度の濃いものであれば、2倍希釈しても薄くありません。しかし、防腐剤等が入らない分作り置きはできません。
また、フォーマを使い「泡」で塗布することで、「液たれ」することがなくなり無駄がありません。また、ハーフドライすることで、水分が飛んで、PPTの主成分が残ることで、PPT濃度も高まります。
ある程度の知識を生かせば、様々な改善が行えるはずですので、やってみてください。
PPTの使用について
ハーフドライして水を抜く理由 (重要)
PPTは基本的に使いやすくするために水などで希釈して製品化していますが、本来PPTなどは簡単に言えば髪と同じ固形物で、その固形物を毛髪内に残して使用するものなのです。その為、塗布後ハーフドライにして水を抜き、使用しなければ髪と結合することなく流れ落ちてしまい結果が得られないという事になってしまいます。(付けるだけならコストアップの無駄使い) このことから、ハーフドライにして使用する為に余りにも希釈率を大きくし過ぎると水が多く、ドライにした時に成分の固形物の量が僅かなものとなってしまい効果が減少してしまうことが解るかと思います。その為、通常施術では、2~3倍希釈程度が良いかと思いますが、5~10倍希釈にして、何度も重ねて使用するなどでも良いかと思います。(ホームケアに利用するときなど適しているように思います)
ハーフドライすることは、重要で毛髪内にPPTの定着率をアップさせる役割があります。
※因みに弊社で、PPTそのものを完全に水が抜けて固形化するまで、コップに入れて自然放置でテストしてみた結果、3年掛かってようやっと固形化しました。それぐらい保湿力が強いという事です。
こちらも参考に 施術結果をより向上させる! ヌースフイット製 添加剤・処理剤情報
弊社から仕入れされた会員様
①解り易く、詳しいマニュアル提供。②マニュアルで分からない場合は、電話やメールで対応致します。③弊社でもわからない場合は、メーカー担当者に依頼対応。