酸性縮毛矯正施術 (酸性ストレート) をもっと理解して使いこなす ! Ⅱ

パートⅡ 1液 (還元剤)

美容師イラスト

酸性縮毛矯正剤(酸性ストレート)とは

酸性還元剤 (GMT・スピエラ) を知るには、その他の還元剤も知る必要があるかと思います。

1液 (還元剤)

還元剤の種類

大きく分けると医薬部外品として、品質基準が薬機法で厳守されている「パーマ剤」と化粧品登録「化粧品種別許可基準」の「カーリング剤」とに分かれます。

医薬部外品の場合、製品販売する前に国の承認許可を得る必要がありますが、化粧品登録の「カーリング剤」の場合、規制緩和により「化粧品基準」で、作れるようになりました。化粧品基準の場合、禁止成分と配合制限成分の基準範囲以上の使用はできません。しかし、企業の自己責任のもと、比較的容易に作れるようになった還元剤です。カーリング剤使用にあたっては、使用する側できちんとした知識のもとで使用し、管理しなければなりません。

その為、正しい使い方をすれば問題ないのですが、その範囲を超えた使い方をする方がいます。多分、使用範囲の限界に対する規制に対する認知がされていないからかと思います。これは、とても危険なことだと思います。

例えば、カーリング剤では医薬部外品の基準である「チオグリコール酸の上限・チオ濃度7%以下」になる様にして使用する規定があります。その為、GMTやスピエラなどのほか、様々なカーリング剤の使用の際、チオ換算して7%未満の使用になる様にして使用しなければなりません。それをチオ換算10とか12とかで使用している方がいらっしゃいましたが、その方もご存知でなかったようで、今は修正いたしましたが、ダメージ毛をさらに極度に悪化させてしまう結果になっていました。

その為、カーリング剤をご使用される方は、ご自身でチオ換算できる様にお勧めしています。これから先、薬機法の規制緩和により自己責任がより問われるために、必要性が高まる知識かと思います。

チオ換算の方法については、以下のページで詳しく説明しておりますので、参考にしてください。

追加情報を調べる

医薬部外品の還元剤

①チオグリコール酸 ②システイン

※二浴式パーマネント・ウェーブ用剤・一浴式パーマネント・ウェーブ用剤・コールド二浴式縮毛矯正剤・加温二浴式縮毛矯正剤・高温整髪用アイロンを使用するコールド二浴式縮毛矯正剤・高温整髪用アイロンを使用する加温二浴式縮毛矯正剤があります。

下記にチオグリコール酸・システインのコールド式と加温式のみ製造承認基準を表記しました。

パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準 二浴式パーマネント・ウェーブ用剤

1剤チオグリコール酸 コールド式チオグリコール酸 加温式システイン コールド式システイン 加温式
使用時の温度室温60℃以下室温60℃以下
還元剤濃度※ 2.0~7.0% (11.0%)1.0~5.0%3.0~7.5%1.5~5.5%
アルカリ度7ml 以下5ml 以下12ml 以下9ml 以下
pH4.5~9.64.5~9.38.0~9.54.0~9.5
パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準

※ 還元剤濃度7%以下・但し、 超えた%分ジチオジグリコール酸を添加した場合は11%まで。チオ濃度の上限7% を超えた7.1~11.0%のもの(11%上限)は、薬剤中に「ジチオ(抑制作用)が1.0%~4.0%含まれていて最終的には7%のチオ換算」なのです。

カーリング剤(カーリング料)

①GMT (チオグリコール酸グリセリル) ②スピエラ (プチロラクトンチオール) ③システアミン ④サルファイト(亜硫酸塩)⑤チオグリセリン

※このほかにチオグリコール酸塩類(チオ濃度2.0%未満)やシステイン類(チオ換算濃度2.0%未満)があります。

パーマ剤1液の組成と働き(アルカリ還元剤の場合) 

1.還元剤(還元能力のある有効成分) : 毛髪中のSS結合を還元(切断)します。

2.アルカリ剤 : 塩結合を切断・pHを上昇させて毛髪を膨潤させ、還元剤の作用を高め還元力を強くすることが出来ます。

3.安定剤 : 酸化防止や劣化防止など

4.その他の添加剤 : 髪の保護・ツヤ出し効果など

5.溶剤 : 混合した還元剤・アルカリ剤・添加剤・安定剤などを溶かして混ぜ合わせる

おおよそ、この5つに基本的には大別されます。チオの場合、反応調整剤としてジチオジグリコール酸が別途配合される場合があります。

パーマ剤(還元剤)の強さ (アルカリ還元剤)

還元剤の強弱は、1.還元剤の種類・濃度(量) 2.アルカリ(量)・pHによってほぼ決まります。

例えば、pHが高いほど膨潤力も大きくなるため、パーマ剤の強さは同じ還元剤の場合(同条件の場合)高pHになれば、強いパーマ剤になります。同様に(同条件の場合)還元剤濃度を高めても強くなり、アルカリ度も高めても強くなります。但し、薬機法で定められた上限下限があります。

還元剤濃度

還元剤の濃度 (薬機法で定められた還元剤濃度) 「パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準」

(※ここでこの還元剤濃度を表記したのは、「どの程度の濃度で強い薬剤」なのかと言う判断を数値から判断できるように知ってもらうためです)

1剤チオグリコール酸 コールド式チオグリコール酸 加温式システイン コールド式システイン 加温式
還元剤濃度※ 2.0~7.0% (11.0%)1.0~5.0%3.0~7.5%1.5~5.5%
パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準
ここがポイント

上記の「チオグリコール酸 コールド式」を例にとるとチオの還元剤濃度は、2.0%~7.0%までと決められています。

※ 還元剤濃度7%以下・但し、 超えた%分ジチオジグリコール酸を添加した場合は11%まで。チオ濃度の上限7% を超えた7.1~11.0%のもの(11%上限)は、薬剤中に「ジチオ(抑制作用)が1.0%~4.0%含まれていて最終的には7%のチオ換算」なのです。

同様にチオグリコール酸/加温式なら1.0~5.0% ・ システイン/コールド式なら3.0%~7.5%・システイン/加温式なら1.5~5.5%と決められています。

また、カーリング剤の規定としては、チオグリコール酸系コールド二浴式の上限7.0%までとされています。その為にカーリング剤使用の場合は、この還元濃度範囲内で納める必要があるのです。

規定として、決められているのですが実際にこの範囲を超えるとやはり危険であることが、様々な実験で分かりますので、国が定めている数値は正しいと考えるべきかと思います。大切なお客様に取り返しのつかないことは出来ません。充分ご注意の上ご利用されることをお勧めします。

還元剤のpH

還元剤のpH (薬機法で定められたpH) 「パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準」

(※ここでこの還元剤のpHを表記したのは、「どの程度のpHで強い薬剤」なのかと言う判断を数値から判断できるように知ってもらうためです)

1剤チオグリコール酸 コールド式チオグリコール酸 加温式システイン コールド式システイン 加温式
pH4.5~9.64.5~9.38.0~9.54.0~9.5
パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準

上記の「チオグリコール酸 コールド式」を例にとると還元剤のpH範囲は、pH4.5~9.6 までと決められています。

これに関して、チオグリコール酸濃度6.0%のチオで、pHを変えた場合の還元された割合のデーターがあります。

還元剤pHの違いによる毛髪還元率

TG%pH浸漬前のシスチン(%)量浸漬5分後のシスチン(%)量還元された割合
6.0%5.115.6%12.3%21.0
6.0%8.115.6%9.8%27.5
6.0%9.315.6%6.9%45.5
6.0%9.515.6%6.2%60.5
pHの調整はアンモニア・温度30℃・毛髪は溶液中に5分間浸漬

同じ条件で、pH9.3とpH9.5のたった0.2違うだけで、高pHになると還元値が大きく変化することを知ってください。

これも実際に施術する際に使用する還元剤によって違いはあるものの、pHが変わるとそれ以外はすべて一緒でも、これだけの還元の差が出ることが分かります。pHが9.6以上になるとこの格差はもっと大きく変化します。先にパートⅠで紹介した「コールド液による膨潤度」の急激な上昇を見ても分かる通り、注意が必要なのが分かります。

コールド液による膨潤度

アルカリについて

アルカリの役割は、塩結合を切断・pHを上昇させて毛髪を膨潤、軟化させ・還元剤の作用を高めるチカラは大きい・髪を溶かすチカラもある。

(※ここでこのアルカリ度を表記したのは、「どの程度のアルカリで強い薬剤」なのかと言う判断を数値から判断できるように知ってもらうためです)

種類 : アンモニア・モノエタノールアミン・炭酸水素アンモニウム(重炭酸アンモニウム)など

還元剤のアルカリ (薬機法で定められたアルカリ量) 「パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準」

1剤チオグリコール酸 コールド式チオグリコール酸 加温式システイン コールド式システイン 加温式
アルカリ度7ml 以下5ml 以下12ml 以下9ml 以下
パーマネント・ウェーブ用剤 製造承認基準

アルカリ剤の特徴

アンモニア : 刺激臭が強い反面、揮発性が高いので1液放置中にpHが下がり、オーバータイムになりにくい。

モノエタノールアミン(アミン類) : 揮発性がなく刺激臭が少ない反面、毛髪への親和性・残留性が高い為、オーバータイムの注意が必要。さらに配合量の増加に伴って、1剤のpHの上昇が著しい為強い効果を持つ。

炭酸水素アンモニウム : アンモニアのような刺激臭がなく、モノエタノールアミンの様な刺激への配慮は少ない。配合量を増加しても1液のpH上昇はしにくい為に強い効果を持つパーマ剤を作りにくい。低pH高アルカリの薬剤が作りやすい。

※不揮発性のアルカリは、刺激臭が少ないが毛髪に残留アルカリとして残りやすい傾向があります。

チオグリコール酸6.0% アルカリ度4と同じ条件にした場合のpHと膨潤の違い「アルカリ剤による膨潤効果の違い」

アルカリの種類チオグリコール酸濃度アルカリ度pH膨潤効果
アンモニア6.0%4pH9.445
モノエタノールアミン6.0%4pH9.555
炭酸アンモン6.0%4pH7.828
アルカリ剤による膨潤効果の違い

          

アルカリは、膨潤をさせる力が大きく、膨潤とはケラチンのような高分子が溶ける前には水を吸って膨らんでいる現象で、溶解の一歩手前の現象です。この膨潤現象はpHが高いほど大きく、同じpHでも毛髪が弱いほど大きく表れます。縮毛矯正を伸ばすには、ある程度の膨潤、軟化をさせることは必要ですが、しかしその効果が強すぎると事故のもとになりますので、充分注意が必要です。

酸性縮毛矯正(スピエラ・GMT)は、もちろんこのアルカリが含まれません。ここまで表記した様々な要因から酸性還元剤の優位性はご理解いただけたかと思いますが、アルカリ還元剤も正しく使用すると素晴らしい還元剤です。その為、正しくアルカリ還元剤を把握してもらうために膨潤・還元などをご紹介してきました。

アルカリ還元剤のチカラも借りて施術する「W還元やトリプル還元施術」(※スピエラ・GMT・システアミンチオグリコール酸など ) も髪質によって、おススメです。

その為にFMCB理論をご理解いただくと良いかと思います。→詳しくは、FMCB理論 

FMCB理論

ここまでが、知っておくべき基礎知識です。(酸性縮毛矯正施術 (酸性ストレート) をもっと理解して使いこなす! パートⅠ・パートⅡ)

例えば、チオグリコール酸で、チオ濃度7.0%・アルカリ 7ml・pH9.6の薬剤は最強の強さと言う目安が分かるようになります。常に使用する薬剤のこれら(薬剤スペック)を知って使う様にした方が良いかと思います。これらを知って薬剤を使用すると「成功や失敗」の目安が自ずと理解できるようになるからです。

酸性還元剤(スピエラ・GMT)とは

酸性還元剤は、従来チオグリコール酸でpH4.5から認められていたので、昔から存在していたのです。しかし、チオグリコール酸で酸性域の場合、ここまでアルカリや還元、pH、膨潤などの資料から分かる通り、還元力がとても弱く、パーマでも掛かりが悪く、縮毛矯正では全くと言っていいほど利用できませんでした。

しかし、2006年に昭和電工㈱がまったく新しい弱酸性のカーリング剤(還元剤)「スピエラ」を開発したことから、酸性還元剤としての展開が、大きく進展したのです。GMTは、1980年代にドイツで開発されていましたが、日本では2001年の化粧品の規制緩和後にカーリング剤の還元剤として輸入され2012年頃から各メーカーで製品化がはじまった経緯があります。

スピエラもGMTどちらとも酸性域で還元出来る商材で髪のキューティクルを開かすことなく還元出来るので、カラーの退色や髪のダメージを最小限に抑える事が出来ます。

しかし、スピエラやGMTは還元する部分が、従来のチオグリコール酸やシステインと違いがあります。

ヌースフイットのスピエラ&GMT ( F還元用 )

ヌースフイットのスピエラ&GMT

酸性還元剤(スピエラ・GMT)とアルカリ還元剤では還元する場所が違う

◇ スピエラ・GMTはフィブリル部の還元(F還元) 疎水性部分の還元する還元剤

◇ アルカリ還元剤はマトリックス部の還元(M還元) 親水性部分の還元する還元剤 

F還元・M還元を知ってもらうためにFMCB理論を知ってください。→FMCB理論

スピエラやGMTは、エステル構造を持つ化合物

(※ 一応記載しておきますが、実務では重要ではないかと思いますのでスルーで良いかと思います)

エステル構造とは、酸とアルコールとから水が取れた形の化合物の総称。(エステル結合を持つものの総称)

酸とアルコールとして、「カルボン酸+アルコール」を例にすると、カルボン酸のR(側鎖)-COOHとアルコールR´-OHから1分子のH2Oがとれて結合するとR-COO-R´という構造のエステルが生成される=エステル結合。

この反応を水が取れて結合するので、「脱水結合」とも呼びますが、特にむずしく考えないで、SHとSHが結合して、SS結合になった程度と同じことです。油脂は、高級脂肪酸R-COOHとグリセリンC3H5(OH)3の結合したエステルです。余談ですが、グリセリンと硝酸の反応でダイナマイトの原料であるニトログリセリンを生成させることが出来ます。ポリエステルも同様で、ポリ(多数)エステルと言うことです。

エステル化=エステル構造=脱水結合=エステル結合 全てほぼ同じ事と考えてよいかと思います。その真逆が加水分解です。

エステル結合(脱水結合)⇔加水分解 ( 酸化⇔還元と同じように真逆のこと ) 

エステル化

通常、スピエラもGMTも水を加えれば、加水分解の影響を受けてしまうので「用事調製型」の還元剤としての使用が求められているかと思います。

知っておくべきこととして、「スピエラ」「GMT」使用時にこのスピエラやGMTだけ注目されがちですが、用事調製時に混合する希釈剤によって、GMTもスピエラも性能が大きく変わりますし、性格も変わりますので、施術結果も違いが大きく出ます。希釈剤にもっと注視するべきかと思います。その点を含め、はじめてその製品の評価が出来ます。当社としては、それらの判断からヌースフィット製品をおススメしております。

スピエラ ( 全成分表示名称: ブチロラクトンチオール )とは

カールもカラーも取り入れた、軽さのあるヘアスタイルが主流となっている現代。それと同時に、ツヤとコシのある健康毛へのニーズも高まっています。しかし、従来のカーリング剤はアルカリにより髪を膨潤(膨らむ)させるという手法でカールを形成するためダメージが避けられず、また、せっかくのヘアカラーが色落ち してしまう、刺激臭が残る、などの難点がありました。
それらを解消すべく、総合化学メーカー昭和電工(株)が研究開発を進めて実現したのが、まったく新しい弱酸性の高性能カーリ ング剤「スピエラ®」です。

特徴①髪を傷めない弱酸性・疎水性(大)と親水性(小)の両方の性格を持つ・分子量 118(分子構造が平面的構造で浸透しやすい)

髪は表面のキューティクルは疎水性(水をはじく)であり、内部は親水性(水になじむ)であるという性質を持っています。そのため、疎水性と親水性の両方を持つチオール系化合物を合成し、弱酸性で十分なカール形成を可能にしました。アルカリにより髪を膨潤させることもないから、ダメージヘアでも安心して使えます。『スピエラ®』は、毛髪からのタンパク質流出量が少なく、無処理毛と近い状態を保ちます。

一般的なアルカリ還元剤(パーマ剤)を使用した縮毛矯正施術では、毛髪をアルカリによって、柔らかくさせて還元剤を入りやすくしますが、しかし、アルカリ剤に漬け続けるとどんどん柔らかくなって、しまいには毛髪が溶け始め、やりすぎる(過膨潤)と元に戻らなくなってしまいます。
一度その様になるとキューティクルなどのほか、内部構造も破壊されてしまい「ダメージ毛」となってしまいます。その為、アルカリを使用しないことだけでも髪に対して負担軽減が出来ることになります。以下は、毛髪を1時間40℃の熱を加えた「タンパク質(髪成分)」の流出テストです。TGパーマ剤・システインパーマ剤は、共にアルカリを使用した還元剤です。スピエラは、酸性域なのでほとんどタンパク質の流失は見れません。(色が変色したのは、タンパク質の流出)

タンパク質の流出度合い

特徴②高いカーリング性能・・・高いカール形成力

高いカール形成力を追及。しっかりしたカール形成が可能です。

下記の図は、チオはpH9ではしっかりカール力があるがpH6では落ちる。システインもpH9ならしっかり、pH6では落ちるが、スピエラの場合pH5.6でもカール系形成力はあるというものです。酸性処方の低濃度(2.5%=チオグリコール酸2%相当)でカール形成が出来る。

『スピエラ®』は、本来の毛髪に近いpH値で、高いカール形成力を発揮します。
健康毛とカラー14トーン毛でのスピエラとチオのウェーブ形成力

上部画像は、健康毛と14トーン毛に対して、スピエラとチオグリコール酸でのウェーブ形成力比較データーです。14トーンではチオグリコール酸はウェーブがダレてしまいますが、スピエラではウェーブ形成されています。※アクティブアシッドカールは、スピエラです。

特徴③風合い・感触が良い・柔らかい質感が得られる

髪のコシや風合いを大切にし、施術後には滑らかな手触りを実感できるほどです。また、柔らかくしなやかな仕上がる感じです。繰り返しパーマをかけてもダメージしにくい。

※各薬剤で5回処理した毛髪表面のキューティクルの状態を観察した結果です。『スピエラ®』は繰り返し処理を行ってもキューティクルが浮かず、なめらかな毛髪を保ちます。

特徴④ヘアカラーと相性がいい・・・色落ちも少なく、カール&カラーの同時施術が可能に

「スピエラ®」は傷んだ髪にも高いカール形成力を発揮。酸性域なので膨潤も抑えるためにヘアカラーの色落ちも抑えることとなり、カールとカラーの同時施術が可能です。

GMT ( 全成分表示名称: チオグリコール酸グリセリル )とは

チオグリコール酸とグリセリンを反応させて作った還元剤で、スピエラと同じく疎水性・親水性を持った還元剤で、毛髪にしっかり浸透し反応することができる還元剤です。酸性領域でも十分な還元力を発揮し、チオグリコール酸と同じようなハリのあるリッジの効いたカール形成力があり、施術臭と残臭が少ないのが特長です。但し、基本的には加温を必要とする還元剤です。ヨーロッパ(ドイツ)発の還元剤。GMT®は、株式会社ブライの登録商標です。

特徴①髪を傷めない弱酸性域で還元 : 疎水性(大)と親水性(小)の両方の性格を持つ・分子量 166(分子構造が球体を潰した扁平状で、水膨潤程度で浸透する)。酸性域~アルカリ域での使用が出来る用事調製薬剤

特徴②還元力はチオグリコール酸に匹敵する還元力で加温することで還元力を上げる : また、ウエットからドライにしてもウェーブ垂れが非常に少ない還元剤で、手触り感が良く、コシのあるカールが出来る。加温する事により、還元率を上げる事が出来る。基本は、加温使用。

特徴③臭いもほとんど気にならない程度少ない : 臭いに関しては、個人の見解があるが、スピエラよりは少ない。

特徴④ヘアカラーと相性がいい : 色落ちも少なく、カール&カラーの同時施術が可能に

 

なぜ、「酸性のスピエラ・GMT」で縮毛矯正が伸びるのか?

縮毛やくせ毛になる理由は様々ありますが、結果的には毛髪内のコルテックス部分を大きく分けるとパラコルテックスとオルトコルテックスがあり、そのパラコルテックスとオルトコルテックスが一方に偏ってしまったり、不均等になったりの構造に繋がり、くせ毛などに繋がってしまうことが多いかと思われます。また、SS結合が歪んでできるなどもありますが、詳しくは先に表記したパートⅠの主だったくせ毛の要因」「主だったくせ毛の種類を参照してください。いずれにしても縮毛の場合、直毛と比べて毛髪内の「マトリックス」「フィブリル」の配列がきちんと揃っていません。

その為、簡単にいえばこの配列をきちんと揃えてから、固定すれば直毛になります。

上記の右画像は、縮毛(くせ毛)の毛髪内のマトリックスとフィブリルを表しています。その左画像の真っすぐな状態になっているのが、直毛です。

この直毛状態にする為には、マトリックス間同士のSS結合とゆがんだフィブリル間のSS結合を切ってその後、まっすぐに形を整えて固定すれば直毛になるわけですが、ひとつ問題がある訳です。

それは、マトリックスとマトリックスの間は親水性ですが、フィブリル間は疎水性が高い部分になります。

また、通常の還元剤は親水性の高い還元剤です。(チオ・シス)  その為、チオなどの親水性の還元剤は、マトリックス間には浸透し還元しますが、フィブリル間には浸透が悪く還元が不十分です。その為に真っすぐな状態に整えられないのです。

ところが、スピエラやGMTなどは、疎水性が強い還元剤なのでこのフィブリル間に浸透し、還元出来るのです。正確に言うとスピエラやGMTは、両親媒性と言って、親水性と疎水性の両方(両親媒性)を持ち合わせています。しかし、疎水性の方が強い還元剤です。

なぜ、縮毛が酸性域で伸びるのかについて、以下を参照してください。

直毛のコルテックスとくせ毛のコルテックス

また、フィブリルにもオルトコルテックスとパラコルテックスと2種類あり、中の成分ケラチンの質の違いで、次のような差があります。

名称性状シスチン含有染着性
オルトコルテックス親水性大・柔らかいシスチン含有小酸性染料に染まりやすい
パラコルテックス疎水性・硬いシスチン含有大塩基性染料に染まりやすい
コルテックスの種類と性質

普通の直毛には、オルトコルテックスとパラコルテックスが平均しておりますが、縮毛などでは図の様に偏って、ねじれた形で髪が伸びています。ねじれの理由は、片方が水を含み膨潤しやすいですが、もう片方は水を含みにくいので膨潤しにくく、均等に水分を含んで保てず、ねじれが生じるのです。

通常の還元剤は親水性の為に親水部分であるマトリックスに浸透し、その部分のシスチン結合を切断を出来ますが、疎水性であるフィブリル間同士の繋がりのシスチン結合はフィブリル間に十分浸透出来ないため切断できません。その為、薬液塗布してもフィブリル間のシスチン結合が切れないため、毛髪内部の配列が揃わないことで「伸びない」「元に戻ってしまいやすい」という結果になってしまうのです。

さらに伸びないことで、多くのアルカリを使って薬液の浸透を高め、多くのマトリックス間のシスチン結合を切るということとなってしまい、オーバータイム(過膨潤)やオーバー還元に陥りやすくなるのです。

しかし、スピエラやGMTは疎水性が強い為に疎水性であるフィブリル間のシスチン結合を切ることが出来ます。また、親水性も僅かですが持ち合わせているために親水性であるマトリックス間のシスチン結合も切断することができ、配列をきれいに整えることで、自然な直毛になるのです。

ヌースフイットの酸性縮毛矯正 【基本工程】

ヌースフイット酸性縮毛矯正 は GMT+スピエラを使ったハイブリット縮毛矯正

ヌースフイット酸性縮毛矯正とは、酸性還元剤のGMTとスピエラを利用したハイブリット縮毛矯正で、GMTとスピエラの個々の特性をうまく利用し、両方の長所を引き出した酸性域還元剤による縮毛矯正です。一般的に GMTとスピエラ を混合して使用しますが、もちろん単体で使用する場合もあります。

GMTコンクとクリーム6とヒモストSP

【基本を理解】

1. スピエラ+GMTは、弱酸性域の還元剤  その為にアルカリ縮毛矯正で髪が一番傷む理由の「過膨潤」をさせないで、施術できる。

2.スピエラはGMTに比べて、還元力は弱い薬剤だが、手触り感とツヤが良くなり、ニーズの高い柔らかさも出る。

3.GMTはスピエラより質感は落ちるが還元力は強い。GMTだけでも質感は悪くない。理由は酸性域で行うので髪が膨潤しないためにキューティクルが揃った状態で縮毛矯正をやる為、質感は悪くならない。しかし、スピエラの質感とツヤはほしいので、両方を混ぜて使用する。そうすると還元力のあるGMTと質感の良いスピエラの両方の良いところ取りで縮毛矯正が出来る。

スピエラ単体での縮毛矯正は、とても良いのだが、GMTを含んだ時と比べ還元不足があり、伸びが少し弱い為限られた髪質になりがち。(※勿論、スピエラ単体での使用でもよいが、時間が掛かることが多い。しかし、質感やしなやかさは抜群 )

「GMT」の強いウェーブ形成力と質感・艶の良い「スピエラ」を混合し、両方の良いところだけを利用するハイブリット型なのです。細毛やダメージ毛・エイジング毛に対して特に有効で、例えば、中高年の方の髪の毛は、加齢と共に細くなり、ハリコシのない髪質になっていきますが、そんな方にアルカリの還元剤を使ったパーマ・デジタルパーマ・縮毛矯正などを行えば、より一層細くハリコシのない髪になっていきます。しかし、「GMT」「スピエラ」はそんな髪質に特に力を発揮します。軟化や膨潤などさせないで、 デジタルパーマ・縮毛矯正 ・パーマ等を行うので今迄とは結果が違います。

ヌースフイットGMTの特徴

GMTコンクとクリーム6
商品名 :「ヒモストGMTコンク」+「ヒモスト クリーム6」の混合剤がGMT還元剤
今すぐ仕入する

商品名 : ヒモストGMTコンク + ヒモスト クリーム6 の混合剤がGMT還元剤

「ヒモストGMTコンク」とは還元剤の高濃度原液で、使用する際に濃すぎるため希釈する必要があります。希釈するものが、「ヒモストクリーム6」です。「ヒモストGMTコンク」と「ヒモストクリーム6」を混合し使用する※用事調製型還元剤です。

酸性域の還元剤で毛髪を膨潤させないために損傷が極めて少ない。しかし、還元能力は高く、チオにも匹敵する還元力を持っており、パーマ・デジタルパーマにも縮毛矯正にも利用の幅が広い還元剤。特に近年は、GMTとスピエラを混合させた使い方が主力になってきています。

※用事調製型還元剤 簡単に言うと使用直前で混合させて使用する薬剤

GMTコンク詳細 : GMTコンク原液  ( 1液還元剤 ) 【還元成分】GMT【GMT濃度】54% 【PH】なし 【容量】200g

GMTコンク2に対してヒモストクリーム6は8の割合で使用する。 配合比率 : GMTコンク 2 : 8 クリーム6  ( 混合でチオ換算6% )

ヒモスト クリーム6詳細 : 1液用溶剤【代表的な配合成分】メドゥフォーム油・ヒアルロン酸配合・各種アミノ酸・リピジュア

【PH】8.8~9.2 ( GMTコンクと混合で、酸性域になります ) 【容量】800g ※GMT混合後の保管は出来ませんので、速やかに使用する必要があります。

ヒモストGMTの特徴

  • 微酸性で最大級の還元力
  • 健康毛からダメージ毛迄幅広く対応
  • 酸性なのに安定した還元で、ウェーブ・ストレートに威力を発揮
  • 不快感のない低臭タイプ
  • スピエラとの相性も抜群
  • 膨潤によるダメージを大幅に軽減
  • 毛髪強度の低下防止
  • みずみずしく、ふんわりとした仕上がり

ヌースフイットのスピエラの特徴

縮毛矯正でやわらかさを出すなら!! 他との違いが出るスピエラがこれ ♬

ヒモーストレートSP 400g
今すぐ仕入する

※実際には、ヒモストSPのほかにFジェル・Fローション・アクティブアシッドなどがあるが、縮毛矯正で一般的に使用するヒモストSPのみ表示

商品名 :ヒモーストレートSP

酸性側で使用する「今、美容業界で1番髪を傷めない還元剤」です。カールもカラーも取り入れた軽さのあるヘアスタイルが主流となっている現代。それと同時に、ツヤとコシのある健康毛へのニーズも高まっています。しかし、従来のウェーブ剤(還元剤)はアルカリにより髪を膨潤(膨らむ)させるという手法でカール(ストレート)を形成するためダメージが避けられず、また、折角のヘアカラーも色落ちしてしまうなどの難点があります。それらを解消すべく誕生したのが、酸性の高性能還元剤「スピエラ®」を使用した「ヒモーストレートSP」です。

「ヒモーストレートSP」の詳細 : (通称:ヒモストSP) 400g スピエラクリーム (用事調製不要)【還元成分】スピエラ【還元剤濃度】2.3% チオ換算【PH】2.8~3.2【スピエラ濃度】3.0%

■主だった配合成分 : プチロラクトンチオール(スピエラ)・メドゥフォーム油・各種アミノ酸・アルカリセンサー  

ヒモーストレートSPの特徴

  • メドゥフォーム油配合で、なめらかな感触
  • 用事調製不要(他社にない性能)で、クリームで安定化してあるので匂いが少ない
  • PH4以下の酸性域なので、毛髪をほとんど傷めません
  • パーマや縮毛矯正の毛先保護剤としても使用できる
  • しっとりつややかな、抜群の感触  質感・艶向上
  • キューティクルCMCの18MEAに対して侵しにくいので、毛髪の艶を失わない
  • オーバータイムの心配不要で、ハイダメージの毛髪にも安心して使用できる
  • フィブリル間の結合に「ずらし」を与えることで、ダメージ差に関係なく施術が出来る
  • 酸性還元剤で、マトリックスやCMCの流出を防ぐ事が出来る

ヒモーストSPの仕上がり感などの特徴

  • 根本折れや潰れの心配が少なく、ふわっとしたナチュラルな仕上がり
  • 弾力とサラサラ感
  • 艶やかな艶
  • 膨潤によるダメージを完全に抑えられる
  • ヘアカラーやブリーチ毛・ダメージ毛のお客様にもアプローチできる
  • しっとりタイプ

参考に以下の写真は、弊社が扱い始めた当時の(Before&After)「スピエラ単品での縮毛矯正」の施術結果

【弊社講習会時の写真】当初はスピエラ単体で施術。とてもきれい仕上がるが、1ヶ月後には少し広がりが出てしまうという不十分な結果となった為に、そこから研究が進みGMTの還元力も利用するようになった。現在は、GMT+スピエラが基本となっています。スピエラ単体では、少し広がりが出やすいかと思いますが、髪質によってはとても良い場合もあります。営業ベースで安定した結果を出すことを考えると「GMT+スピエラ」がベストです。

左施術前 右施術後 スピエラ単体施術
上部/施術前 下部/施術後

伸びにくい縮毛の場合

まだ不慣れでうまくいかないという時にマトリックス部分(M還元)とフィブリル部分(F還元)をW還元・トリプル還元して伸ばす方法があります。

先に伸びにくい部分をプレ還元として、アルカリ還元剤でマトリックス部分の還元(M還元) 15分~20分常温もしくは、加温を行う。(※根元の膨潤つぶれを防ぐ為に放置時間10分が良い髪もあるので注意)

その後、一度流してから、フィブリル部分の(F還元)をするという方法になります。

プレ還元終了後、一度流してからヒモストSP塗布 常温もしくは加温 15分放置

黒髪の伸びにくい髪の場合、 GMT+ヒモストSP塗布  20分 加温放置  (GMTは加温が必要な還元剤の為)

前処理・中間処理・後処理は通常施術

プレ還元時 : ヌースフイット Mジェル「チオとシステアミン」の還元剤。チオ換算6.5%・アルカリ3ml・pH8.1の薬剤スペックの還元剤です。これを利用します

Mジェル : シスアミ&チオのトロ~リジェル。疎水性「コポリマー」が過膨潤を抑制します。

Mジェル
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※ M還元・F還元については、こちらをご覧ください。→FMCB理論 FMCB薬剤 FMCBパーマ基本工程

うまくいかない最大の原因 アイロン施術時の髪の加湿調整

アイロン施術時の髪の加湿調整。(失敗原因の7割~8割がこれにあたります)

80%ドライの状況になっていない。90%以上のドライになってしまっている。施術中に毛髪が乾いてしまって、90%以上のドライになってしまっている場合もよくある現象。毛髪が乾いてしまったら、霧吹きなどで水分を加えて、毛髪表面の水分をタオルで軽くふき取ることで調整できます。80%ドライで行うとほとんど改善されます。伸びにくい剛毛でも大半はきちんと伸びます。

※伸びやすい毛髪なら90%ドライぐらいでも伸びることから、その延長上で伸びにくい髪にも同じドライ状態でやってしまう習慣的なミスが目立ちます。どんな髪も基本は、80%ドライの状況でアイロン施術を行うことです。このドライの加減が重要な技術力であります。

アイロン操作に伴うタンパク質の熱変性について

水分量を多く残しすぎると髪(タンパク質)に熱が伝わりやすくなり、髪を傷める原因に繋がってしまう。(サウナ70℃とお風呂70℃の熱伝導率の違い)

うまくいかない技術者の失敗原因は、大半が「還元の見極め」と「アイロン技術」の2点に尽きます。そのひとつである最も重要な「アイロン技術」習得の動画をご用意いたしましたので、是非ご覧ください。特にアイロン施術の際、髪に残す水分量をよくご覧頂きたく存じます。

もっとアイロン技術を極めるためにお勧めの動画はこちら  人気の「酸性縮毛矯正」技術を取得する動画

アイロンの使い方 Wアイロン

伸びにくい部分だけを先にアイロン操作  再度、髪全体を濡らして、通常のアイロン施術を行う

以上パートⅡを終了しますが、是非、参考にして頂き、酸性縮毛矯正施術を使いこなして頂ければ幸いです。

パートⅠ:くせ毛の要因・くせ毛の種類・人気の縮毛・縮毛施術のアイロン・放置タイム・還元とは・膨潤とは・膨潤の仕組み・PPT・CMC 

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